げんじものがたり 23 はつね
源氏物語 23 初音

冒頭文

若やかにうぐひすぞ啼(な)く初春の衣(きぬ)くば られし一人のやうに    (晶子) 新春第一日の空の完全にうららかな光のもとには、どんな家の庭にも雪間の草が緑のけはいを示すし、春らしい霞(かすみ)の中では、芽を含んだ木の枝が生気を見せて煙っているし、それに引かれて人の心ものびやかになっていく。まして玉を敷いたと言ってよい六条院の庭の初春のながめには格別なおもしろさがあった。常

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 全訳源氏物語 中巻
  • 角川文庫、角川書店
  • 1971(昭和46)年11月30日改版