ムーズ キャシー
Moods cashey

冒頭文

How much dollar? を「ハ・マ・チ・ド・リ」と、居留地の人力車夫仲間できめてしまう。こうしてできた実用英語がピヂン・イングリッシュである。十九世紀の世界を、シナの開放と日本の開国で円形に完成した者は英語国民であったから、香港、上海、横浜と逐次(ちくじ)つくられていった外人セツルメントで、土地のシナ人や日本人とのあいだで用いられる実用国際語も、英語を基調としたことは当然である。

文字遣い

新字新仮名

初出

「Moods cashey」真善美社、1947(昭和22)年11月

底本

  • 黒船前後・志士と経済他十六篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1981(昭和56)年7月16日