ねんぶつのいえ
念仏の家

冒頭文

一 私の家の祖先は、越中の国水橋といふ小さな漁村の生れであつた。 「有磯(ありそ)の海」といふのである。枕の草紙に、「渡りはしかすがの渡、こりずまの渡、みづはしの渡」とある。その水橋である。文治二年正月末、源義経主従十七人が山伏の姿となつて奥州へ落去の途次、京都堀川を忍び出て、越前に入り、安宅(あだか)の関をすぎ、倶利伽羅峠をこえて、越中に入り、水橋川を渡つた——といふ史話がある。

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • ふるさと文学館 第二〇巻 【富山】
  • ぎょうせい
  • 1994(平成6)年8月15日