ろじ
路地

冒頭文

鉄橋と渡船(わたしぶね)との比較からこゝに思起(おもひおこ)されるのは立派な表通(おもてどほり)の街路に対して其の間々(あひだ〳〵)に隠れてゐる路地の興味である。擬造西洋館の商店並び立つ表通は丁度(ちやうど)電車の往来する鉄橋の趣(おもむき)に等しい。それに反して日陰の薄暗い路地は恰(あたか)も渡船の物哀(ものあはれ)にして情味の深きに似てゐる。式亭三馬(しきていさんば)が戯作浮世床(げさくうきよ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆90 道
  • 作品社
  • 1990(平成2)年4月25日