らいせいか
来青花

冒頭文

藤(ふぢ)山吹(やまぶき)の花早くも散りて、新樹のかげ忽ち小暗(をぐら)く、盛(さかり)久しき躑躅(つゝじ)の花の色も稍うつろひ行く時、松のみどりの長くのびて、金色(こんじき)の花粉風来(きた)れば烟の如く飛びまがふ。月正に五月に入つて旬日を経たる頃なり。もし花卉(くわき)を愛する人のたま〳〵わが廃宅に訪来(とひきた)ることあらんか、蝶影(てふえい)片々たる閑庭異様なる花香(くわかう)の脉々として

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆1 花
  • 作品社
  • 1983(昭和58)年2月25日