余は都会の夜(よる)を愛し候(そろ)。燦爛(さんらん)たる燈火の巷を愛し候。 余が箱根の月大磯の波よりも、銀座の夕暮吉原の夜半(やはん)を愛して避暑の時節にも独(ひと)り東京の家に止(とゞま)り居たる事は君の能(よ)く知らるゝ処に候。 されば一度(ひとたび)ニユーヨークに着して以来到る処燈火ならざるはなき此の新大陸の大都の夜(よ)が、如何に余を喜ばし候(さふら)ふかは今更(いまさら)申上(