ゆうだち
夕立

冒頭文

白魚(しらうお)、都鳥、火事、喧嘩、さては富士筑波(つくば)の眺めとともに夕立もまた東都名物の一(ひと)つなり。 浮世絵に夕立を描けるもの甚(はなはだ)多し。いずれも市井(しせい)の特色を描出(えがきいだ)して興趣津々(しん〳〵)たるが中に鍬形蕙斎(くわがたけいさい)が祭礼の図に、若衆(わかいしゅ)大勢(たいぜい)夕立にあいて花車(だし)を路頭に捨て見物の男女もろともに狼狽疾走するさまを

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆18 夏
  • 作品社
  • 1984(昭和59)年4月25日