白魚(しらうお)、都鳥、火事、喧嘩、さては富士筑波(つくば)の眺めとともに夕立もまた東都名物の一(ひと)つなり。 浮世絵に夕立を描けるもの甚(はなはだ)多し。いずれも市井(しせい)の特色を描出(えがきいだ)して興趣津々(しん〳〵)たるが中に鍬形蕙斎(くわがたけいさい)が祭礼の図に、若衆(わかいしゅ)大勢(たいぜい)夕立にあいて花車(だし)を路頭に捨て見物の男女もろともに狼狽疾走するさまを