さとのこんじゃく
里の今昔

冒頭文

昭和二年の冬、酉の市へ行つた時、山谷堀は既に埋められ、日本堤は丁度取崩しの工事中であつた。堤から下りて大音寺前の方へ行く曲輪外(くるわそと)の道も亦取広げられてゐたが、一面に石塊(いしころ)が敷いてあつて歩くことができなかつた。吉原を通りぬけて鷲(おほとり)神社の境内に出ると、鳥居前の新道路は既に完成してゐて、平日は三輪行(みのわゆき)の電車や乗合自動車の往復する事をも、わたくしは其日初めて聞き知

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻15 色街
  • 作品社
  • 1992(平成4)年5月25日