「おかしたもの」について
「冒した者」について

冒頭文

私の作品はたいがいそうであるが、特にこの「冒した者」では「現代」そのものが直接的に主題になり主人になっている作品である。 それはこの中に描かれた事件や人物が実際において私の身近に起きた事件であり実在の人物であると言う意味だけでは無い。もっと深い意味で——つまり主題の押し出し方や材料の処理のしかたそのものが「現代」なのである。現代では「私」の問題を真に追求するためには世界を除外することが出

文字遣い

新字新仮名

初出

「毎日新聞」1952(昭和27)年8月22日

底本

  • 三好十郎の仕事 第三巻
  • 學藝書林
  • 1968(昭和43)年9月30日