たかはししんきちろん
高橋新吉論

冒頭文

こんなやさしい無辜(むこ)な心はまたとないのだ。 それに同情のアクチイビティが沢山ある。これは日本人には珍らしい事だ。 この人は細心だが、然し意識的な人ではない。意識的な人はかうも論理を愛する傾向を持つてゐるものではない。高橋新吉は私によれば良心による形而上学者だ。彼の意識は常に前方をみてゐるを本然とする。普通の人の意識は、何時も近い過去をみてゐるものなのだ。—— 彼の魂にとつて現象は

文字遣い

新字旧仮名

初出

「赤門文学 四・五月合併号」1943(昭和18)年4月1日

底本

  • 新編中原中也全集 第四巻 評論・小説
  • 角川書店
  • 2003(平成15)年11月25日