よしこ
良子

冒頭文

「お嬢ちやん大きくなつたらお嫁に行くんでせう?……」良子の家に毎日やつてくる真つ赤な顔や手の魚屋の小僧は、いまお祖母(ばあ)ちやんが鉢を出しに奥へ行つたと思ふとそんなことを云つた。 「いやーよ。」さう云ふなり良子は、走つて台所と物置との間の、狭い通路に這入つてしまつた。 彼女は今年七ツになる、先達小学校に入学したばかりだつた。 「お魚(さかな)屋さんのばーかやい。」 「お嬢ちやんの

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 新編中原中也全集 第四巻 評論・小説
  • 角川書店
  • 2003(平成15)年11月25日