しにかんするはなし
詩に関する話

冒頭文

一、序 近頃芸術は世界全般に亙つて衰へ、その帰趨を知らない。種々なる主義傾向によつて賑はつてゐるとは云へ、各人は衰弱し、独りゐては考へ込み、人と遇つてはカラ笑ひしてゐる。私も亦同様である。然るに今日私は過去五年間の暗中模索、傷ましき躁宴の後に、聊か芸術の泉なるものが依て以て存する所以に想ひ到つた。——どうぞ愚人の囈言も偶にはよいとして、私の語る所を聴いて貰ひたい。 ありとある微分値

文字遣い

新字旧仮名

初出

「白痴群 第六号」1930(昭和5)年4月1日

底本

  • 新編中原中也全集 第四巻 評論・小説
  • 角川書店
  • 2003(平成15)年11月25日