げんじものがたり 08 はなのえん
源氏物語 08 花宴

冒頭文

春の夜のもやにそひたる月ならん手枕 かしぬ我が仮ぶしに    (晶子) 二月の二十幾日に紫宸殿(ししんでん)の桜の宴があった。玉座の左右に中宮(ちゅうぐう)と皇太子の御見物の室が設けられた。弘徽殿(こきでん)の女御(にょご)は藤壺(ふじつぼ)の宮が中宮になっておいでになることで、何かのおりごとに不快を感じるのであるが、催し事の見物は好きで、東宮席で陪観していた。日がよく晴れて青

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 全訳源氏物語 上巻
  • 角川文庫、角川書店
  • 1971(昭和46)年8月10日改版