おせい
おせい

冒頭文

「近所では、お腹(なか)の始末でもしに行つたんだ位に思つてゐるんでせう。さつきも柏屋のお内儀さんに會つたら、おせいちやんは東京へ行つてたいへん綺麗になつて歸つたと、ヘンなやうな顏して視てましたよ」と、ある晩もお酌をしながら、おせいは私に云つた。 父の四十九日の供養に東京に出て行つて、私もそのまゝ弟の家の二階で病氣の床に就いてしまつた。肺尖の熱が續き、それから喘息季節にかゝつて、三ヶ月餘り寢通

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 子をつれて 他八篇
  • 岩波文庫、岩波書房
  • 1952(昭和27)年10月5日