お抱え車夫の平七が、熊本の町の近郊にある有名なお寺へ連れて行ってくれた。 白川に架かっている、弓のように反(そ)った、由緒ありそうな橋まで来たとき、私は平七に橋の上で停まるように言った。この辺りの景色をしばし眺めたいと思ったのである。夏空の下で、電気のような白日の光に溢れんばかりに浸(ひた)されて、大地の色彩は、ほとんどこの世のものとは思われないほど美しく輝いていた。足下には、浅い川が灰色の石