きられのせんた
斬られの仙太

冒頭文

1 下妻街道追分土手上 右手遠くに見える筑波山。土手の向う側(舞台奥)は小貝川の河原添いの低地になっていて、その左手寄りに仕置場が設けてあるらしく荒組みの青竹矢来の上部の一部がみられる。街道からその方へダラダラ下りの小道の角に、ギョッとする程大きい高札。 高札のすぐ傍の路上にペタリと土下座してしきりに額を砂利にすりつけてお辞儀をしている若い百姓真壁の仙太郎。その前の地面には

文字遣い

新字新仮名

初出

「斬られの仙太」ナウカ社、1934(昭和9)年4月

底本

  • 叢書名著の復興1 恐怖の季節
  • ぺりかん社
  • 1966(昭和41)年12月1日