たいない
胎内

冒頭文

一 暗い。右手の奥のほうに一ヵ所かすかに明るいところがある。遠くでかみなりが鳴っている。雨もふっているらしい。それらの音が、ここにこもって、低い反響をおこしている。…………………ながいことたってから、かすかに明るいへんの、さらに奥のあたりで人のケハイと足音。それから、にぶいドシンという音がする。その方から、とぎれとぎれの人声。 男の声 うんと!……(イキンでいる)ちきしょう! この……!女の声 

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

底本

  • 現代日本文學大系 58 村山知義 眞船豐 久保榮 三好十郎集
  • 筑摩書房
  • 1972(昭和47年)8月31日