ふたばやま
双葉山

冒頭文

強い双葉山が、四日目に安芸ノ海に負け、五日目に両国に負け、六日目に鹿島洋に負けたので、贔屓客が贔屓するあまり、実にいろいろの事をし、医者の診察をすすめたり、心理学の大家の説を訊いたり、いろいろの事をしてゐる。 当の双葉山関はどうかといふに、自分でもそんなに粗雑な相撲を取つてゐるとはおもはぬし、体の調子もそんなに悪いとはおもはぬのに、『どうして負けるのか自分でも解りません。負け癖がついたん

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻2 相撲
  • 作品社
  • 1991(平成3)年4月25日