ほね

冒頭文

たうとう勃凸は四年を終へない中に中学を退学した。退学させられた。学校といふものが彼にはさつぱり理解出来なかつたのだ。教室の中では飛行機を操縦するまねや、活動写真の人殺しのまねばかりしてゐた。勃凸にはそんなことが、興味といへば唯一の興味だつたのだ。 どこにも行かずに家の中でごろ〳〵してゐる中におやぢとの不和が無性に嵩じて、碌でもない口喧嘩から、おやぢにしたゝか打ちのめされた揚句(あげく)、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「泉」1923(大正12)年4月1日

底本

  • 三代名作全集・有島武郎集
  • 河出書房
  • 1942(昭和17)年12月15日