あいびき
あいびき

冒頭文

このあいびきは先年仏蘭西(フランス)で死去した、露国では有名な小説家、ツルゲーネフという人の端物(はもの)の作です。今度徳富先生の御依頼で訳してみました。私の訳文は我ながら不思議とソノ何んだが、これでも原文はきわめておもしろいです。 秋九月中旬というころ、一日自分がさる樺(かば)の林の中に座していたことがあッた。今朝から小雨が降りそそぎ、その晴れ間にはおりおり生ま煖(あたた)かな日か

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本文学全集1 坪内逍遥・二葉亭四迷集
  • 集英社
  • 1969(昭和44)年12月25日