あい

冒頭文

その人にまた逢(あ)ふまでは、とても重苦しくて気骨(きぼね)の折れる人、もう滅多(めった)には逢ふまいと思ひます。さう思へばさば〳〵して別の事もなく普通の月日に戻り、毎日三時のお茶うけも待遠しいくらゐ待兼(まちか)ねて頂きます。人間の寿命に相応(ふさ)はしい、嫁入り、子育て、老先(おいさき)の段取りなぞ地道に考へてもそれを別に年寄り染みた老け込みやうとは自分でも覚えません。縫針の針孔(めど)に糸は

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本幻想文学集成10 岡本かの子
  • 国書刊行会
  • 1992(平成4)年1月23日