ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ
東山時代における一縉紳の生活

冒頭文

予がここに東山時代における一縉紳(しんしん)の生活を叙せんとするのは、その縉紳の生涯を伝えることを、主なる目的としてのことではない。また代表的な縉紳を見出すことが至って困難であって見れば、一人の生活を叙して、それでもって縉紳階級の全部を被(おお)わんとするの無理なることは明白だ。しかしながら予の庶幾(しょき)するところは、その階級に属する一員の生活の叙述によりて、三隅ともに挙げ得るまでには行かない

文字遣い

新字新仮名

初出

「藝文」京都大学文学部、1917(大正6)年8月号~12月号

底本

  • 現代日本思想大系27 歴史の思想
  • 筑摩書房
  • 1965(昭和40)年1月15日