におうもん
仁王門

冒頭文

手紙の形で書かれてあるし、書いた本人は毒を呷(あお)って死んでいるのだから、おそらく遺書だろうとは思うのだが、発見した場所が場所だから、どうもその点がハッキリせぬ。 もし仮に遺書だとしても、果してその中込(なかごめ)礼子という、婦人に宛て送るつもりで書いたのか、書き終ったら気が変って、そのままうっ棄(ちゃ)って置いたのか? それともこれを下書きにして、もう送ってしまったのか? そういう点が、一切

文字遣い

新字新仮名

初出

「小説新潮」1955(昭和30)年5月

底本

  • 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
  • 中央書院
  • 1994(平成6)年7月29日