しろ

冒頭文

第一章 Kが到着したのは、晩遅くであった。村は深い雪のなかに横たわっていた。城の山は全然見えず、霧と闇(やみ)とが山を取り巻いていて、大きな城のありかを示すほんの微かな光さえも射していなかった。Kは長いあいだ、国道から村へ通じる木橋の上にたたずみ、うつろに見える高みを見上げていた。 それから彼は、宿を探して歩いた。旅館ではまだ人びとがおきていて、亭主は泊める部屋をもってはいなか

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界文学大系58 カフカ
  • 筑摩書房
  • 1960(昭和35)年4月10日