さいしょのくのう
最初の苦悩

冒頭文

ある空中ブランコ乗りは——よく知られているように、大きなサーカス舞台の円天井の上高くで行われるこの曲芸は、およそ人間のなしうるあらゆる芸当のうちでもっともむずかしいものの一つであるが——、はじめはただ自分の芸を完全にしようという努力からだったが、のちにはまた横暴なほどになってしまった習慣から、自分の生活をつぎのようにつくりあげてしまった。つまり、一つの興行で働いているあいだは、昼も夜もブランコの上

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界文学大系58 カフカ
  • 筑摩書房
  • 1960(昭和35)年4月10日