きゅうぶんにほんばし 23 かなくそぶとり(ぞくきゅうぶんにほんばし・そのに)
旧聞日本橋 23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)

冒頭文

あんぽんたんとよばれた少女のおぼつかない記憶にすぎないが、時が、明治十六年ごろから多く廿年代のことであり、偶然にも童女の周囲が、旧江戸の残存者層であって、新文明の進展がおくれがちであったことなど、幾分記録されてよいものであったためか、先輩の推賞を得た拙著『旧聞日本橋』の稿を、ここにつづけることをよろこびといたします。 お夜食におくれて、遅く帰って来た人のお菜に、天ぷらをとりにいった女

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 旧聞日本橋
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1983(昭和58)年8月16日