きゅうぶんにほんばし 22 おおもんどおりかいわいひとたば(ぞくきゅうぶんにほんばし・そのいち) |
| 旧聞日本橋 22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一) |
冒頭文
あたしの古郷(ふるさと)のおとめといえば、江戸の面影と、香(か)を、いくらか残した時代の、どこか歯ぎれのよさをとどめた、雨上りの、杜若(かきつばた)のような下町少女(おとめ)で、初夏になると、なんとなく思出がなつかしい。 土(つち)一升、金(かね)一升の日本橋あたりで生れたものは、さぞ自然に恵まれまいと思われもしようが、全くあたしたちは生花(きばな)の一片(ひとひら)も愛した。現今(いま)のよ
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 旧聞日本橋
- 岩波文庫、岩波書店
- 1983(昭和58)年8月16日