こうじつ
好日

冒頭文

1 朝 オルゴールの曲。 室数二十は下るまいと思われる、堂々たる邸宅の、庭に面した二つの座敷。梅雨季の薄曇りの朝。石も樹も格式通りに布置されてサビの附いた庭が、手入れを怠ったため、樹や草の少し伸び過ぎたのがムッと明るい。座敷の、上手の広い室(十五六畳)の縁側近く据えた紫檀の机の前に坐っている三好十郎。机の上には、原稿紙とペン、それから今鳴りわたっているオルゴールしかけの卓上

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 三好十郎の仕事 第二巻
  • 學藝書林
  • 1968(昭和43)年8月10日