きゅうぶんにほんばし 16 さいしょのがいこくほけんさぎ |
旧聞日本橋 16 最初の外国保険詐欺 |
冒頭文
この章にうつろうとして、あんぽんたんはあまりあんぽんたんであった事を残念に思う。ここに書こうとする事は、私の幼時の記憶と、おぼろげに聞き噛(かじ)っていただけの話ではちと荷がかちすぎる。 私はまことに呑気(のんき)な、ぽかんとした顔をしているが、私というものが生をこの世にうける前は江戸が甦生(こうせい)し、新たに生れた東京という都(みやこ)が、総(すべ)てに新生の姿をとって漸(ようや)く
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 旧聞日本橋
- 岩波文庫、岩波書店
- 1983(昭和58)年8月16日