きゅうぶんにほんばし 15 ながれたつばき
旧聞日本橋 15 流れた唾き

冒頭文

神田のクリスチャンの伯母(おば)さんの家(うち)の家風が、あんぽんたんを甚(しど)くよろこばせた。この伯母さんは、女学校を出て、行燈袴(あんどんばかま)を穿(は)いて、四円の月給の小学教師になったので、私の母から姉妹(きょうだい)の縁を切るといわれた女(ひと)だ。でも、当時を風靡(ふうび)した官員さんの細君になったので、また縁がつながったものと見える。思うに私の母はちと癪(しゃく)だったに違いない

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 旧聞日本橋
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1983(昭和58)年8月16日