うつくしいだけではまにあわない |
| 美しいだけでは間にあはない |
冒頭文
詩と劇とは元來、本質的に切り離せぬ關係にあるが、「思想」が劇に不可缺のものであるとは特に言ひきれない。我々は「思想」のない劇には飽きる程觸れて來たし、美しいとか面白いとか云ふ點で稱讃もして來た。思想劇と云ふ名稱は或る時期には「退屈」の代名詞の樣にさへ使はれてゐた。美しいのはいい。面白いのはいい。だが、美しいだけでは、面白いだけでは間に合はぬ時代になつてしまつたやうである。劇の思想性が反省されねばな
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「俳優座六月公演パンフレット」1952(昭和27)年
底本
- 加藤道夫全集(全一卷)
- 新潮社
- 1955(昭和30)年9月30日