きゅうぶんにほんばし 12 チンコッきり |
| 旧聞日本橋 12 チンコッきり |
冒頭文
アンポンタンはぼんやりと人の顔を眺める癖があったので、 「いやだねおやっちゃん、私の顔に出車(だし)でも通るのかね。」 さすがの藤木さんもテレて、その頃の月並(つきなみ)な警句をいった。 小伝馬町の牢屋の原を廻(めぐ)る四角四面の町々に、アンポンタンの友達の分譜(ぶんぷ)があり、学んだ学校があり、長唄稽古所があり、親の知合(しりあい)の家もあったから、私がポカンと立止って眺めているなにかしら
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 旧聞日本橋
- 岩波文庫、岩波書店
- 1983(昭和58)年8月16日