らいびょうやみのはなし |
癩病やみの話 |
冒頭文
あたしの申上(まをしあ)げる事(こと)を合点(がてん)なさりたくば、まづ、ひとつかういふ事(こと)を御承知(ごしようち)願(ねが)ひたい。白(しろ)の頭巾(づきん)に頭(あたま)を裹(つゝ)んで、堅(かた)い木札(きふだ)をかた、かた、いはせる奴(やつ)めで御座(ござ)るぞ。顔(かほ)は今(いま)どんなだか知(し)らぬ。手(て)を見(み)ると竦(ぞつ)とする。鱗(こけ)のある鉛色(なまりいろ)の生
文字遣い
新字旧仮名
初出
「三田文学 第四巻第三号」1913(大正2)年3月
底本
- 定本 上田敏全集 第一巻
- 教育出版センター
- 1978(昭和53)年7月25日