ふろうがくしょうのはなし
浮浪学生の話

冒頭文

抑(そも〳〵)われは寄辺(よるべ)ない浮浪学生(ふらうがくしやう)、御主(おんあるじ)の御名(みな)によりて、森(もり)に大路(おほぢ)に、日々(にちにち)の糧(かて)を乞(こ)ひ歩(ある)く難渋(なんじふ)の学徒(がくと)である。おのれ今(いま)、忝(かたじけな)くも尊(たふと)い光景(けしき)を観(み)、幼児(をさなご)の言葉(ことば)を聞(き)いた。われは己(おのれ)が生涯(しやうがい)のあ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「三田文学 第四巻第二号」1913(大正2)年2月

底本

  • 定本 上田敏全集 第一巻
  • 教育出版センター
  • 1978(昭和53)年7月25日