たんていしょうせつおもいでばなし |
探偵小説思い出話 |
冒頭文
新青年ではじめて探偵小説の懸賞募集をやったのは昭和何年であったか、戦災による罹災で書籍や参考記録の一切を焼いてしまった私の手元では、今はっきりと判らないが、何でも枚数は五十枚、賞金は一等五百円であったかと思う。 その時故人夢野久作さんの『押絵の奇蹟』と私の『窓』が当選した。この発表にさきだって応募作品全部の題名と作者の氏名が発表されたが、何でも応募総数は四百編位であったと思う。ところが、
文字遣い
新字新仮名
初出
「ぷろふいる」1946(昭和21)年7月
底本
- 甦る推理雑誌2 「黒猫」傑作選
- 光文社文庫、光文社
- 2002(平成14)年11月20日