熊野の小母さんへ。 あなたには四、五年も昔から、よくお便りしてます。けれど、こんな殺風景な紙に、宿命的な味気ない字を書くことは、はじめてです。いつも、信州の紙とか、色のついたアート紙に、或いはかすれた筆文字で、或いは、もっと、面白くきれいな字——いやこれは、おこがましいかな。でも、あなたは、私の字を好んでくれました。——で、お便りしたものです。何故、この紙を選んだか、おわかりですか。実は、あな