しょうらいのにほん 02 じょ
将来の日本 02 序

冒頭文

徳富猪一郎君は肥後(ひご)熊本の人なり。さきに政党の諸道に勃興するや、君、東都にありて、名士の間を往来す。一日余の廬(りょ)を過ぎ、大いに時事を論じ、痛歎して去る。当時余ひそかに君の気象を喜ぶ。しかるにいまだその文筆あるを覚(さと)らざるなり。 すでに西に帰り、信書しばしば至る。書中雅意掬(きく)すべし。往時弁論桿闔(かんこう)の人に似ざるなり。去歳の春、始めて一書を著わし、題して『十九

文字遣い

新字新仮名

初出

「将来の日本」経済雑誌社、1886(明治19)年10月7日

底本

  • 日本の名著 40
  • 中央公論社
  • 1971(昭和46)年8月10日