ひだのかいだん
飛騨の怪談

冒頭文

(一) 綺堂君、足下(そっか)。 聡明なる読者諸君の中(うち)にも、この物語に対して「余(あんま)り嘘らしい」という批評を下す人があるかも知れぬ。否(いな)、足下自身も或(あるい)は其一人(そのいちにん)であるかも知れぬ。が、果(はた)して嘘らしいか真実(ほんとう)らしいかは、終末(おしまい)まで読んで見れば自然に判る。 嘘らしいような不思議の話でも、漸々(だんだん)

文字遣い

新字新仮名

初出

「やまと新聞」1912(大正元)年11月13日~1913(大正2)年1月21日

底本

  • 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
  • メディアファクトリー
  • 2008(平成20)年3月5日