かげ (ひとまく)
影 (一幕)

冒頭文

登場人物——重兵衛(じゅうべえ)。太吉(たきち)。おつや。旅人。巡査。青年甲、乙。 現代。秋の夜。 相模国(さがみのくに)、石橋山(いしばしやま)の古戦場に近き杉山の一部。うしろに小高き山を負いて、その裾の低地に藁葺(わらぶ)きの炭焼小屋。家内は土間にて、まん中に炉(ろ)を切り、切株(きりかぶ)又は石などの腰かけ三脚ほどあり。正面は粗末なる板戸の出入口。下(しも)のかたには土竈(どがま)、

文字遣い

新字新仮名

初出

「舞台」1936(昭和11)年7月号

底本

  • 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
  • メディアファクトリー
  • 2008(平成20)年3月5日