まさむねたにざきりょうしのひひょうにこたう
正宗谷崎両氏の批評に答う

冒頭文

去年の秋、谷崎君がわたくしの小説について長文の批評を雑誌『改造』に載せられた時、わたくしはこれに答える文をかきかけたのであるが、勢(いきおい)自作の苦心談をれいれいしく書立てるようになるので、何となく気恥かしい心持がして止(よ)してしまった。然るにこの度は正宗君が『中央公論』四月号に『永井荷風論』と題する長文を掲載せられた。 わたくしは二家の批評を読んで何事よりもまず感謝の情を禁じ得なか

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 荷風随筆集(下)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1986(昭和61)年11月17日