ふかがわのさんぽ
深川の散歩

冒頭文

中洲(なかず)の河岸(かし)にわたくしの旧友が病院を開いていたことは、既にその頃の『中央公論』に連載した雑筆中にこれを記述した。病院はその後(のち)箱崎川にかかっている土洲橋(どしゅうばし)のほとりに引移ったが、中洲を去ること遠くはないので、わたくしは今もって折々診察を受けに行った帰道には、いつものように清洲橋(きよすばし)をわたって深川(ふかがわ)の町々を歩み、或時は日の暮れかかるのに驚き、いそ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 荷風随筆集(上)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1986(昭和61)年9月16日