ひゃっかえん
百花園

冒頭文

友の来(きた)って誘うものあれば、わたくしは今猶(なお)向島の百花園に遊ぶことを辞さない。是(これ)恰(あたか)も一老夫のたまたま夕刊新聞を手にするや、倦(う)まずして講談筆記の赤穂義士伝の如きものを読むに似ているとでも謂(い)うべきであろう。老人は眼鏡の力を借りて紙上の講談筆記を読む。その講談は老人の猶衰えなかった頃徒歩して昼寄席(ひるよせ)に通い、其耳に親しく聴いたものに較べたなら、呆れるばか

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日和下駄 一名 東京散策記
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 1999(平成11)年10月10日