ていこくげきじょうのオペラ
帝国劇場のオペラ

冒頭文

哀愁の詩人ミュッセが小曲の中に、青春の希望元気と共に銷磨し尽した時この憂悶を慰撫するもの音楽と美姫との外はない。曾てわかき日に一たび聴いたことのある幽婉なる歌曲に重ねて耳を傾ける時ほどうれしいものはない、と云うような意を述べたものがあった。 わたくしが帝国劇場にオペラの演奏せられるたびたび、殆(ほとんど)毎夜往きて聴くことを娯(たの)しみとなしたのは、二十余年前笈(おい)を負うて遠く西洋

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日和下駄 一名 東京散策記
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 1999(平成11)年10月10日