すいか
西瓜

冒頭文

持てあます西瓜(すいか)ひとつやひとり者 これはわたくしの駄句である。郊外に隠棲している友人が或年の夏小包郵便に托して大きな西瓜を一個(ひとつ)饋(おく)ってくれたことがあった。その仕末(しまつ)にこまって、わたくしはこれを眺めながら覚えず口ずさんだのである。 わたくしは子供のころ、西瓜や真桑瓜(まくわうり)のたぐいを食(くら)うことを堅く禁じられていたので、大方そのせいでもあ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 荷風随筆集(下)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1986(昭和61)年11月17日