ぎんざ
銀座

冒頭文

この一、二年何のかのと銀座界隈(ぎんざかいわい)を通る事が多くなった。知らず知らず自分は銀座近辺の種々なる方面の観察者になっていたのである。 唯(ただ)不幸にして自分は現代の政治家と交(まじわ)らなかったためまだ一度もあの貸座敷然たる松本楼(まつもとろう)に登る機会がなかったが、しかし交際と称する浮世の義理は自分にも炎天にフロックコオトをつけさせ帝国ホテルや精養軒や交詢社(こうじゅんしゃ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 荷風随筆集(上)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1986(昭和61)年9月16日