ごくちゅうしょうそく
獄中消息

冒頭文

市ヶ谷から(一)   * 宛名・日附不明 僕は三畳の室を独占している。日当りもいいし、風通しもいいし、新しくて綺麗だし、なかなか下六番町の僕の家などの追いつくものでない。……こんなところなら一生はいっていてもいいと思うくらいだ。しかし警視庁はいやなところだった。南京虫が多くてね。僕も左の耳を噛まれて、握拳大の瘤を出かした。三、四日の間はかゆくてかゆくて、小刀でもあったらえぐり取り

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 大杉栄選 日本脱出記・獄中記
  • 現代思潮社
  • 1970(昭和45)年7月10日