そううんきょうよりだいせつざんへ
層雲峡より大雪山へ

冒頭文

一 層雲峡の偉観 富士山に登って、山岳の高さを語れ。大雪山に登って、山岳の大(おおい)さを語れ。 大雪山は北海道の中央に磅礴(ほうはく)して、七、八里四方の地盤を占め頂上の偉大なること、天下に比なく、群峰攅(あつま)って天を刺し、旭川の市街を圧す。最高峰は海抜七千五百五十八尺、ただに北海道の十国島に冠たるのみならず、九州になく、四国になく、中国になく、近畿になく、奥羽になし。信濃を

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論」1923(大正12)年4月

底本

  • 山の旅 大正・昭和篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2003(平成15)年11月14日