かんちゅうたいがくき (じゅうがつついたちよりじゅうにがつにじゅういちにちにいたるはちじゅうににちかん)
寒中滞岳記 (十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)

冒頭文

玄冬(げんとう)の候、富士山巓(ふじさんてん)の光景は、果して如何(いか)なるものなるべきや。吾人(ごじん)の想像以上なるべきか、これを探撿して以(もっ)て世に紹介せんことは、強(あなが)ち無益の挙にあらざるべし、よって予はここに寒中の登岳(とうがく)を勧誘せんと欲するに臨(のぞ)み、先(ま)ず予が先年寒中滞岳中の状況を叙述して、いささか参考に供する所あらんとす、既に人の知る如く、富士山巓は木(き

文字遣い

新字新仮名

初出

「富士案内」春陽堂、1901(明治34)年8月

底本

  • 山の旅 明治・大正篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2003(平成15)年9月17日