りしりざんとそのしょくぶつ
利尻山とその植物

冒頭文

余が北見の国利尻島の利尻山に登ったのは、三十六年の八月である、農学士川上滝弥君が、数年前に数十日の間この山に立籠って、採集せられた結果を『植物学雑誌』に発表せられたのを、読んでから、折があったら自分も一度はこの山に採集に出かけたいと思っていたが、何分にも好機会がないので、思いながら久しく目的を達することが出来なかった、然(しか)るに山岳会の会員中で高山植物の採集と培養に熱心な加藤泰秋子爵が、この山

文字遣い

新字新仮名

初出

「山岳 一の二」1906(明治39)年6月

底本

  • 山の旅 明治・大正篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2003(平成15)年9月17日