えっちゅうつるぎだけせんとうき
越中劍岳先登記

冒頭文

越中の劍岳は、古来全く人跡未到の劍山として信ぜられ、今や足跡殆(ほと)んど遍(あまね)かられんとする日本アルプスにも、この山ばかりは、何人(なんぴと)も手を著(つ)け得ざるものとして、愛山家の間に功名の目標となれるが如き感ありしに、会員田部隆次氏は、「劍山登攀(とうはん)冒険談」なる、昨四十年七月末『富山日報』に出(い)でたる切抜を郵送せられ、かつ「先日山岳会第一大会に列席して諸先輩の講演、殊(こ

文字遣い

新字新仮名

初出

「山岳 五の一」1910(明治43)年3月

底本

  • 山の旅 明治・大正篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2003(平成15)年9月17日